第54代 理事長 有 村 良 一
【はじめに】
私は、自動車販売修理業を営む両親の元に産まれ、我武者羅に働く両親に背を向け、自分勝手な生活を送っていた時期がありました。当時は、親の気持ちなど何一つ考えることなく生活を送っていましたが、私も家庭を持った一人の親として今だからはっきりと解ります。あの時の両親の心境は「子供が不自由しないように」と一生懸命働いていたことを・・・そして、両親が築き上げた会社の信用を借りて今の自分があります。そのお陰さまで様々な人と出会い、新たな目標を与えてくれた青年会議所と出逢えました。
2016度の鹿屋青年会議所は主管として九州地区大会2016鹿屋大会を開催し、九州中の青年会議所会員が鹿屋の地に集い、地域に活力を漲らせた一年でありました。この経験を存分に発揮するためにも、前年度の熱き想いを引き継ぐとともに今一度、全ての本質を見つめ直し「俺らがやらずに誰がやる」と気概を持って私たち一人ひとりが、明るい豊かなおおすみの未来を想い描き切り拓いていかなければなりません。
【同志の拡大】
54年の歴史を持つ鹿屋青年会議所は、先輩諸兄の想いを脈々と引き継ぎ、現在があります。価値観が多様化する現代において、不安定な経済などが要因となり、新入会員の減少・在籍年数の短期化に繋がっていると考えます。青年会議所における会員拡大の意義とは、組織に新しい同志が集い「多くの学びの機会」「多くの出会い」の中で切磋琢磨し成長し合い、魅力ある人となり青年会議所運動を展開することが地域を活性化させると考えます。地域への想いや青年会議所の存在意義を発信し、地域を想う同志を一人でも多く増やすことで、信頼される組織・価値のある組織の構築となり地域活性化の源となると確信します。
【未来を創造し躍動感溢れるおおすみへ】
鹿児島県には、ここ数年で国内外問わず多くの観光客が訪れ、経済効果も前年度に比べ増加しています。私たちが住み暮らすおおすみも平成26年に東九州自動車道・おおすみ縦貫道が開通して圏域の交流や産業をさらに飛躍させる基盤が整いましたが、果たしてどれ位の観光客がおおすみに訪れて美しい自然・歴史・文化・多様な食材に触れ、堪能しているのでしょうか。観光客を惹きつける魅力は、地域コミュニティによって創造されると考えるのであれば、人口減少は魅力低下、すなわち観光客数減に繋がりうると考えます。おおすみ半島には少子化の進行や、若者の地元離れに伴う人口減少によって、存続が困難になると予測されている自治体があり、おおすみ半島の中央部に位置する鹿屋市においても多くの方が鹿屋の地を離れているのが現状です。人口減少は地域経済・産業・社会保障などに極めて大きく影響を及ぼすと考えます。地方創生が叫ばれる今だからこそ、地域の資源と地域コミュニティを活かした事業を行い、国内外を問わず交流人口を増加させ、躍動感溢れるおおすみを創造することが定住人口増加に繋がると確信します。
【組織連携から生み出す力】
地域の活性化を行う上で、行政・市民・諸団体との関わりは重要であり近年、行政主導型のまちづくりから市民の参画・協働型へと変化しています。私たちが住み暮らすおおすみも先導的役割を担う様々な想いを持つ団体が多く存在し、活動が盛んになっております。各種団体で目的は違えども「地域への想い」「利他の精神」「人とのつながり」などは同じに思えます。青年会議所の運動と各種団体の特色を生かし、様々な角度から地域にアプローチをほどこし協働することで、運動の効果が高まり地域の活力となると確信します。
【自覚と責任を持った青少年の育成】
社会の情報化が急速に進展する中で、子供たちが情報や情報手段を主体的に選択し活用していくための基礎的な資質(情報活用能力)を身に付け、情報社会に主体的に対応していく力を備えることが重要となっている時代の中で、若者に社会の担い手であることを意識してもらうことなども目的として、改正公職選挙法が成立し、「選挙権年齢18歳以上」への引下げにより、全国で約240万人が新たに有権者になりました。このような中、私たちが住み暮らす地域の中で、果たしてどれくらいの若者が社会情勢に関心をもち、社会の担い手として「自覚」と「責任」を持っているのでしょうか。地域や国に関心をもてる青少年育成を行い、自分たちは何をしなければいけないのかという判断力を身に着くことで、「自覚」と「責任」を備え持った青少年が未来を担う地域のリーダーとなり明るい未来を切り開くと確信します。
【広い視野を持った人材の育成】
会員一人ひとりがリーダーとして地域社会を牽引していくためには、会員の資質の向上が不可欠であります。しかし近年、在籍年数の短い会員が多くを占めるようになっています。今を生きる責任世代の一人として自分が一体何者であるか、今どのような目的を持って在籍しているか自問した時に答えることが出来るでしょうか。青年会議所の本質を語れるでしょうか。もう一度、それぞれの原点を見つめ直し「全ての原因我にあり」と考えて、初めて自らの成長や成功に繋がると考えます。「青年会議所は学び舎であり失敗は成長への近道」であると言われます。「不器用でもいい」、「失敗してもいい」物事に対して失敗を恐れず果敢に全力で挑戦することで、広く深い視野を持つ人材へと成長し、地域を牽引できるリーダーとなると確信します。地域社会などの現場に多様な視点や創意工夫をもたらします。
【厳格な組織運営と運動の発信】
鹿屋青年会議所は地域に根差した必要とされる団体として、公益法人認定法に則った組織運営を心掛け、地域の更なる発展に向けて力強く歩んでまいりました。今後も、運動の持つ力を最大限に引き出すためにも、互いを尊重し高い志を持って全員が行動出来る組織運営を持つことが、地域に必要とされる組織になると確信します。また、私たちの行っている青年会議所運動は人々に意識変革を起こしていく運動であります。青年会議所運動を広く地域に向けて発信し、私たちの熱き想いを広く伝播することで、運動の輪が広がると確信します。
【透明性ある財務と確固たる規則】
鹿屋青年会議所は、2013年度から公益社団法人としてスタートし4年が経とうとしています。本年度も過去の知識と経験を継承し、公益性を重んじ、財政の透明性を図り、健全で公正な財務運営を継続していくことが、地域から信頼と付託を受け公益性の高い事業構築の礎となります。また青年会議所という組織において、メンバーが一丸となって目的を達成するべく取り組んでいくために、確固たる規則に基づいた規律正しい組織づくりと時流に即した規則を再調し進化し続けることが組織力を高めると確信します。
【終わりに】
私は時に思う事があります。もし青年会議所に入会してなければ、今の私はどのようになっていたのか。私の価値観を根底から変えた青年会議所だから自信を持って言えます。「青年会議所は最後の青年の学び舎」であるということを。しかし自己研鑽や地域づくりのことだけではいけない。私たちが日々展開している青年会議所運動と活動の裏には、必ず身近な大切な人たちが支えてくれて運動や活動が成り立っていることを忘れてはいけない。だからこそ「一期一会」この一瞬を大切に有意義なものにしなくてはいけないし、目標へ向かって我武者羅に突き進むことで得られる自己の成長が、恩返しになると信じて邁進しなくてはいけない。そして、その成長した会員が地域の方々から憧憬を抱かれるロールモデルとなり、本気の想いでまちの未来を考え行動を起こすことが、活力漲る持続可能なまちを創造します。